コラム

ユーザー行動や広告主の指標から考える広告の最適な枠数や位置の設計方法とは

Taishi Nokami

広告収益を伸ばしていく中で、広告枠数や広告枠位置を変更するのは技術的なハードルが高く、収益に与えるリスクも考えると施策として手が出しづらいと感じる運用担当者の方も多いのではないでしょうか?
ユーザーがサイト内でどのような行動をするのか、広告主がどういった広告枠の指標を見ながら入札しているのかを理解できれば、収益を伸ばしていくために広告枠の数や設置位置を最適化する施策を実施することができます。

今回はユーザーの行動や、広告主のニーズを理解するために必要な指標を説明しつつ、広告収益を最大化できるアドバイスを共有いたします。

1PVの中でユーザーの行動は最大でも1クリック

ユーザーがコンテンツに興味を持ってメディアへ訪れた際に、複数の広告枠、SNSへのシェアボタン、別のコンテンツへの回遊、同じコンテンツの次ページへのリンクなど、1コンテンツの中には複数のユーザーが行動できるポイントが設置されているかと思います。
訪れるユーザーの中にはコンテンツの内容が想像していたものとは違い、セッションが発生して早々に「戻る」をブラウザ上で選択するユーザーや、ブラウザを閉じてしまうケースもあるかもしれません。
このように1PVにおいてユーザーは数えきれないほどの選択肢の中から、「広告をクリック」することで収益が発生し、「内部リンク」をクリックすることでPVを増やすことができています。

仮に月間100万PVのメディアにおいて、広告枠数がページにつき10枠と5枠あり、広告へのクリック数が同じ10,000クリックだったと仮定します。枠の設置位置などによりそれぞれの広告枠のCTRは異なりますが、1枠あたりのCTRを平均した際には2倍の差が出ています。広告主は配信実績や費用対効果を元に入札単価を設定しているケースが多く、その指標として枠のCTRは重要な指標となっています。
実際にCTRが低かったり、ページ内で収益性が著しく低い広告枠を削減することで、メディア全体の収益性が伸びる事例も多くあります。

メディアの特性によって最適な広告枠数は異なってきますが、すでに枠数が多いと感じているメディアであれば、各枠のパフォーマンスを見ながら、枠数の最適化を進めてみると良いかもしれません。最適化によって収益性が高まることに加え、広告タグの読込を減らすことができるので、ページスピードや読み込み速度の向上により、SEOの最適化やUI/UXへの好影響から、PVや新規ユーザーの獲得にもつなげることができるでしょう。

ビューアブルインプレッション(Viewable Impression)と視認率

広告の表示回数をインプレッションと呼びますが、そのインプレッションの中で実際にユーザーの目に触れたインプレッションを「ビューアブルインプレッション」と呼びます。IABが定める国際基準では以下とされています。

  • 静止画の場合:広告の50%が表示された状態で1秒視認される
  • 動画の場合:広告の50%が表示された状態で2秒再生される

CTRをベースとした広告枠数の最適化の説明をさせていただきましたが、このビューアブルインプレッションをベースにした枠数の最適化も非常に重要になってきています。

スマートフォン向けのメディアの特性として仕方ない部分ですが、ユーザーはコンテンツに興味を持って訪れているものの、ユーザーがコンテンツを読み終えた後の領域に、内部回遊施策としてレコメンデーションが設置されていたり、広告枠が複数設置されていたりするケースが多く、ユーザーがコンテンツを読み終えた後に回遊などのニーズがなければ、ページ下部までスクロールがなされない可能性があるかもしれません。

広告主目線からすると、ユーザーの目の届かない広告枠に入札を行うことは、費用対効果を考慮する中でリスクとなってしまいます。最近では広告枠の視認率(ビューアブルインプレッションが発生する確率)を指標にして入札を行っている広告主がほとんどになってきています。


中でもCPMで入札を行うような広告主のキャンペーンにおいては、視認率が一定の割合以上ある広告枠やドメインが入札の条件となっているので、メディア運用担当者は視認率をもとに広告枠数の最適化を行い、ドメイン全体の視認率を上げていくことをお勧めします。またメディアのUI/UXや編集を担当されているようなチームで、ユーザーの行動を可視化できるヒートマップのようなツールの導入がされているのであれば、そのデータをもとに、広告枠位置の変更や広告枠の増減を施策として取り込みながら、広告枠の視認率を上げていく運用を進めていくのもよいかもしれません。

1PVにおける収益性の指標=PV単価の考え方

アドサーバーやSSPから取得できるレポートは枠単位となっていることが多いため、日々の運用では各広告枠のCPMを指標にして運用されているケースもあるかと思います。しかしメディアの収益を把握する上においてはPV単価(売上をPVで割った数値)を指標にすることをおすすめします。

例えば10,000,000PVあり広告枠を5枠設置しているメディアから、収益性が低い広告枠Eを削減したことで、その他広告枠のCTRやドメインの視認率が上がり、広告枠Cと広告枠DのCPMが伸びたと想定します。その場合、各プラットフォームのレポートから取得できるのはインプレッションベースの売上になってしまうため、1枠分のインプレッション数が減ることになり、CPMが高くなったように見えてしまいます。しかしPV単価には変動がなく、枠を減らしたことによりこの状況においては、全体のCPMは上がったものの、メディアの収益性は変わらなかったことになります。
だたし、枠数を減らしたことによるドメインの視認率の向上や、枠を減らしたことによる他枠のCTRの増加が見込めるので、枠毎に最適なフロアプライスを調整するなど運用を行うことで、全枠のCPMが向上することが想定できます。その結果として、PV単価も上がってくることになります。

PV単価は広告枠だけでなくメディア全体の状況を把握する上において最適な指標となりますので、運用の中で指標とされていないメディアにおいては活用いただくことをおすすめします。

さいごに

Google Chromeにおいて 3rd party Cookieの 利用制限が2023年まで延期されることになり、多くのメディアでは収益性を減少させないために、データ活用の対策などに取り組まれているかもしれません。しかし、Cookieレスによる単価の下落は想定されるものの、引き続き広告主の入札は視認率やCTRを指標に入札が行われるので、広告主が買い付けをしやすい広告枠を準備できるように、改めて枠数や枠位置の見直しに取り組んでみてはいかがでしょうか。

エンハンスでは、視認率やCTRを考慮し収益を最大化させるための枠位置や枠数変更のご提案をさせていただいております。また、Cookieレスに向けたメディア運用やその他あらゆるお悩みやご相談を受け付けております。中長期的な視点でのご提案をさせていただくこともできますので、気になる方はぜひ、下記お問い合わせフォームよりご相談ください。

 

Taishi Nokami

オウンドメディアの運用経験を活かして、広告マネタイズだけでなくサイト全体の改善施策やSEO観点からもメディアをサポート。エンハンスではツッコミもボケも担当できるオールマイティーな人。